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リストラのレシピ

それから1週間が過ぎたある日、会社に出勤してみるとゴリが僕よりも早く出勤していた。

彼は、僕が出勤して来たことに気づくと、ゆっくりと近づいて来た。

「栗原、調子はどうだ」

「まあまあ、ってとこですかね〜。それより、ゴリさん少しやせたんじゃないですか?」

「お、そうか?」

「前に犬井山に行く時に言ってた、気になる人妻さんと距離でも縮まったんですか?」

「いや、それについてはノーコメントだ」

ゴリは、嬉しそうな顔をしながら首をコキコキ鳴らした。何がノーコメントだ。オ●ニー覚えた猿状態ってとこか。おえ、気持ち悪い。

「ところで、お前。明日、上の方が臨時取締役員会を開くって噂が流れているんだが、何か聞いているか?」

「いや、僕の方には全く……」

「そうか…。それならいいが。でも、もしかしたら会長がお前に後継職を譲るかもしれないな」

「え、そういうことだったら、何か事前に話があるでしょう?何も聞いていませよ」

「まあ、デカイ組織っていうのは秘密裏に物事が進むからな。実は、俺もCOLORプログラムやファンドの動きを単独で調べていたんだが、問題ないようだ。

COLORプログラムの方は、お前たちのおかげでなんとか解決出きたしな。しかし、上層部の連中が、あんな実験をしていたとは……。おっとこの話はもうしちゃいけないんだった。ゴールデン・パートナーが取得した株式も、ウチのメインバンクの三友銀行が引き受けてくれたみたいだ。これで、一安心という感じだな」

「そうですか。やっとこれでブルー・アース・プロジェクトにとりかかれます」

「そうだな。俺もやっとゆっくり出来るよ。それより社長になったとたん俺をクビにするんじゃないぞ」

「はい、でも……。僕が代表取締役に就任して一番始めにやる仕事って、大規模リストラでしょう?」

「……。栗原、お前本当のリストラの意味知ってるか?」

「え、リストラって、コストのかかる社員を解雇するって事でしょう」

「いや、違うんだ。本当のリストラっていうのは、ろくに働きもしないで、高いサラリーを取っている悪徳社員を見つけ出して解雇する事だ。お前は、まだ日が浅いから分からないかもしれないが、寄生虫みたいな奴がたくさんくっついてるからな……」

「そうですか。なんか大変みたいですね」

「ああ。でも、何かあったら、また俺が助けてやる」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ、今日もいつもの通り働いてくれ」

「はい、分かりました」

ゴリは、そう言うと僕のそばを離れ、自分の席に歩いていった。


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