「どうでもいいが、持株の2パーセントを市場に出して大丈夫なのか?あいつ相当頭が切れるみたいだから、裏で落とし穴掘ってるかもしれないぜ」
京介はメニューを開くと素早く、コスモドリアとアイスコーヒーを頼んだ。
「それは、後で考えよう。株式市場があけるまで、1日ある。今はメシ」
「そうだな。まずはメシ。それから考えるか」
僕は、しばらく考えた後、ドミグラスオムライスとガーデンサラダとアイスコーヒーをオーダーした。
料理を待つ間、しばらく談笑した。何気なくガラス越しに駐車場に眼をやると、京介のランボルギーニがあった。
「なあ、京介。あの、ランボルギーニ、やっぱいいな」
「ああ、そうだろう。でも、小まめにメンテしてやらないとダメなんだよね」
「そうか…。それを、考えると何かめんどくさいな」
「それより、さっきの話なんだけど。美森駅から半径15キロ以内の場所に、何か怪しい場所ってあったっけ」
「いや、無いよ。オンボロ・シャッター商店街と住宅地しかないでしょう……。たしか研究施設なんてなかったよ」
「そうだな。でも、昔、秘密軍事工場があったって奴は?」
「あれは、一種の都市伝説みたいなもんじゃないの。まあ、どこの町にでも、そう言う噂はあるから……」
「う〜ん、でも、的がかなり絞られたし、何とかなりそうな感じだな」
「まあ、ある程度場所が特定されたわけだし。少しホッとしたよ」
ちょうど、料理が運ばれてきたので、二人とも無言になった。
食事をすませ、京介が爪楊枝でシーシーやっていると、僕の携帯が
鳴った。
「ケンチャン?」
「ああ、ヤスオか。さっきはいきなり電話して悪かったね」 |
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