無料オンライン小説 COLOR ラスト・コンタクト



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「さて、どうするか」

京介は何も答えず、車のエンジンを切ると、タバコをふかしはじめた。

僕もタバコに火をつけた。重苦しい無言の時間が流れた。

「まあ、行くしかないでしょ。ほんじゃま、レッツラ・ゴー」

「なんだよ、それ」

タバコを吸い終わり、僕がドアを開け車外に出ると、京介も後に続いた。

先ほど通り過ぎた交差点を渡り、以前、理香と訪れたビルに向かう。

僕の後ろを歩いていた京介が、横に来ると前を見たまま話しかけた。

「ここから、近いの?」

「ああ、もうすぐだ」

「お前、道具はあるのか?」

「いや、ないよ」

「そうか、2人とも丸腰か…。だよな、もうオモチャなんて持ち歩けないよな」

「そうだよ。僕達は、もうチンピラじゃないからね」

どうやら、京介は、かなりビビっているようだが、僕は全然平気だった。

なぜなら、靴底の下に、海外のネット通販で購入した、セラミック・ガンをしのばせているからだ。

このセラミック・ガンは、普通の銃並みに殺傷能力がある。おまけに、空港の金属探知機にも引っかからないし、超コンパクトなので、どんな場所にも隠し持って携帯できる。

ただ、これを手に入れる時は少々困った。何度も分割して海外から部品を個人輸入して、その都度、箱の中に入っていた紙に書かれたホームーページへアクセスして、自分でコツコツ組み立てた。

まだ、実射テストをしていないので、ほんとに弾が出るかは分からない。

最悪の場合は、暴発してしまう可能性もある。

でも、ないよりはましか。

「どうやら着いたらしいぜ」

上原と待ち合わせしたビルの前までたどり着いていた。

「ここだ。行こうか」

ビルの中に入りエレベーターに乗り込むと京介が呟いた。

「ここが、正念場だな……」

「ああ……」

僕は、それ以上は何も言えなった。

3階に着くとエレベーターを降りた。店の前まで行くと、1度深呼吸をしてから、ドアを開いた。


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