僕と京介は、ラボを出ると、足早に正面玄関を潜り抜け駐車場へ向かった。
駐車場に着くと京介が僕に話しかけてきた。
「賢一、俺の車で行こう」
「う、うん。って、言うか……。どうでもいいけど、それが、お前のクルマ?」
「ああ、そうだよ」
京介は、そう言うとランボルギーニのドアを開けた。
「これって、ランボルギーニ・ガヤルドクーペだよな。派手な通勤してるよなあ……。ガソリンがリッター160円近くなってるのに、給料持ち出しちゃうんじゃねえの?」
「んなこたぁいいから、早く乗れよ」
車に乗り込みシートベルトをした。おそろしく車高が低い。こいつ、こんな乗りにくい車で通勤しているのか。
僕がそう思っていることなんかおかまいなしに、彼はエンジンをかけた。イグニッションキーをひねってアクセルを踏み込んだとたん、シートの下から爆音が突き抜けてきた。
「むは!こりゃたまらんな。それに狭い」
京介は僕に目もくれない。シフトレバーをセカンドに叩き込んで、アクセルを踏み込んだ。
瞬間、後輪が駐車場のコンクリートをグリップして悲鳴を上げる。駐車場の警備員の一旦停止の指示を無視して、あっという間に車は街へ飛び出した。 |
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