無料オンライン小説 COLOR 屁のツッパリはいらんですよ



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「え〜と。なんか食い物の名前だったような気がするな。でも、思い出せない」

京介は、しばらく考えた後、話し出した。

「あ、そうそう。ゆでたまごだ。それはそうと佐藤、お前、キン肉マン知らないの?」

「はい、ウチはマンガ・テレビ禁止で子供の頃は、夕食を済ませると母がイングランド童話を読んでくれたので、キン肉マンなどは全く知りませんでした。他のアニメキャラも全然です」

「そうか、厳しい親御さんだったんだな」

「僕の大学の同期は、ほとんどそんなヤツばっかりですよ。その反動なのかもしれないですけど、就職してから、アニメにはまるヤツもいるみたいですけど。僕は全然ですね」

昼間の、まんだらけの店内を思い出した。キン消しの値段があがってるのは、僕みたいに、物を与えてもらえなかった子供だけじゃなくて、佐藤みたいな親の締め付けが厳しかった子供が、大人になった後、反動で買い漁ってるからなんだろうな。

「それにしてもさあ、佐藤、アニメにハマれとは言わないけど、キン肉マンくらい知らないと、新しいビジネスニーズを的確に捉えるセンスを養えないぞ。なんせキン肉マンのおかげで、牛丼の吉野家は全国にその名を知らしめたんだから……」

「どういう事ですか?」

「吉野家ってさあ、25年くらい前はチープな外食企業だったんだ。でも、主人公のキン肉マンが、吉野家は、安いの・美味いの・早いのって、毎週連呼するもんだから一躍日本中にその名が知れ渡ったんだ。

その当時、地方には吉野家のチェーン店なんて1つもなかったけど、チェーン店のない地域の人にまで認知されるようになったんだ。どうでもいいけど、吉野家も1度でいいから、キン肉マン感謝祭くらいやってくれよって感じだな」

京介は、そう言うとまた沈黙を守った。

どうでもいいが、昔、教育ママさん達が、子供にはテレビやマンガは有害だから「見せちゃダメ」って躍起になってたけど、ありゃ間違いだな。

やはり、テレビやマンガそれにゲームなどは、適度に子供にあたえないと佐藤みたいにどこかヤラレタ人間が出来てしまうラシイ。あれだけ流行ってたキン肉マンを知らないのか。当然、ドラゴンボールも知らないんだろうな。

「ところで、賢一さん、京介さん、キン肉マンの話は別の機会に聞くとして、COLORの情報をちらつかされてるって話を、詳しく聞かせてもらえませんか?」

佐藤が、真顔になって僕に話した。仕方がないので、京介に話したのと同じことを、佐藤にも話した。上原という人物に、ゆすられていることも佐藤に話した。佐藤は、僕の話を聞くと、黙ってしまった。


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