「座っていいですか?」
佐藤は、僕らの返事を聞かないうちに、僕と京介の間を割る形でベンチに腰掛けた。
「何か怪しかったので来てみたら、案の定またヤバイ話に巻き込まれたんですね」
「なんだ。バレバレか。しかし、良く気付いたな」
僕がそう言うと、佐藤はあきれた顔をした。
「普通気付きますよ。慌てて二人で出ていったから、おかしいなと思ったら、京介さんの机の上に、ゴム人形が置いてあるじゃないですか。あ、これは、と思って来てみたわけです」
「そうか。たしかに怪しく見えるわな。でも、あれはゴム人形じゃなくて、キン消しって言うんだ」
「キン消し?」
「そうだ、キン肉マン消しゴムだ」
「それって、今、流行しているんですか?」
京介が、ロビンマスクと阿修羅マンを佐藤に手渡した。
「いや、20年くらい前のガチャポンのおもちゃだよ。確か当時、週刊少年ジャンプで連載されていてブレイクしたんだ。それで、テレビアニメ化されると熱狂的なファンが出て来て関連グッズなんかもかなり売れたんだ。え〜と、賢一。あれ、作者誰だっけ?」 |
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