「ケンチャン、ガムいる?」
「イラネ〜。っていうか、今はいらない」
「こいつは、相変わらず高校生の時からかわってね〜な。俺様キングダムまっしぐらだったら彼女できねえぞ」
京介はヤスオと笑いあっていたが、僕は痛かった。昨日の夜、アキラと麻美のことを苦く思っていたことが胸の中に浮かんできた。そのことを消すように、僕は上のボタンを押した。京介が、また僕に話しかけてきた。
「あれ、下じゃないの」
「いや、上で一服やろうかなと思って……」
「じゃあ、俺は先に帰るから、んじゃ」
京介は、そう言うと開のボタンを押してエレベーターから出た。再びエレベーターが閉まり、上へと向かいだした。
二回も痛い言葉を投げられてムカついたのでエレベーターを思いっきり蹴ってしまった。
「ケンチャン、やばいよ。それより、ガムいる」
「いらねえ〜」
僕とヤスオを乗せたエレベーターは、ほどなくして屋上に着いた。
ドアが開くと、僕は足早に歩き屋上のドアを開けた。
ヤスオも僕の後を歩いて来ているみたいだ。
相変わらず、ここは都会のオアシスだな。それに、空中庭園みたいな感じで、何か癒される。 |
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