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「なるほど」

「契約したシークレットサービスが選抜した傭兵が、世界各国から身分を隠して入国してる。それで、別々のルートで二ノ岳に集まって、2週間ほど前から潜伏を開始してた。で、作戦決行の合図がさっきの照明弾ってわけだ。

連中は、小隊を組んで行動しているが、俺たちより少し先のポイントを進行している。藤田が雇った傭兵を制圧して、屋敷に乗り込める状態になったら、照明弾を上げる手はずになってたんだ」

「ということは、さっきの照明弾は……」

「ああ、先発隊の傭兵が敵を制圧して、安全地帯を作ったってことだ。予定では彼らが藤田の家の前まで午前11:00ジャストにたどり着く事になっている。それに併せて、俺たちは様子を見ながら行軍していけばいい」

「なるほど、もう安全ってわけですね」

「バカ。戦場ってとこは、どんな時も100%安全なんてもんじゃないんだ。元自衛官とはいえ、俺も40過ぎてるし、兵隊達と真っ向勝負やったら一撃で殺されるのがオチだ。

「俺たちは……」

康市が口をはさんだ。

「お前らだって喧嘩が強いっていっても、チンピラのケンカだろう。そもそもロートルの俺にかなわなかったんじゃないか。まともにやりあえば一発で戦死だよ。薀蓄はいい。箱の中から装備品を出して携帯するぞ」

ゴリは箱の中からさまざまな装備品を出して、僕に手渡してくれた。中でもバイオスコープはすごかった。

ただのゴーグルのように見えるが装着して見ると、暗闇でもはっきり見える。しかも目の前の景色の中に地図情報や敵味方の情報などが表示されて、まるで戦争ゲームを楽しんでいるみたいだった。ゴリは最後に拳銃を一丁僕に手渡すとこう言った。

「栗原、これは自分の死や危険を感じたとき以外は撃つなよ。あくまでも護身用だからな」

「はい。ところで康市の分はないんですか?」

「残念ながら、調達できなかった。とりあえずお前のサバイバルナイフを装備させておけ」

「そうですね」

僕のサバイバルナイフを手渡すと、康市は少しホットしたようだった。

「じゃあ、先を急ごう」

僕たちは、ゴリの後に続いた。バイオスコープのおかげで、闇夜でも視界がはっきりするようになった。自然と足が速くなる。だが、何もつけてない康市は、ついてこれないので、仕方なく手を引いて歩くことにした。

徐々に闇夜が明るくなってくると、とりあえずバイオスコープは不要になった。陽射しがあるのはありがたい。気分がずいぶん楽になった。


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