無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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ゴリには言えなかったがほんとは、まだ沢山やり残したことがある。まず、佐藤と、たこ焼き屋のお姉さんの結婚式に出たい。京介の子供も見たいし、他にもいろんな人と会って話がしたかった。

僕は、明日死ぬのか。

まだ、死にたくないな。最低60歳までは生きたいし結婚もしたいな。

しかし、このゴリが不倫かよ。世の中こんなゴツ毛深い「歩くダイオキシン」みたいな男を愛してくれるマリア様のような心の広い人がいるんだな。神の存在を信じるよ。アーメン。

まあ、そんな事はどうでもいい。

それより、僕は人生に勝ったのかな?

いや、人生に勝ち負けの基準なんてない。あるとしたら自分がどれだけエンジョイ出来たかという事だろう。

誰にも分からない自分だけの価値観だ。

そう言えば、犬井山に登るの久しぶりだ。いや、あれは中学校の遠足の時に登ったのかな?

あれは、確か一ノ岳で二ノ岳は一ノ岳頂上に登った時に見たけど切り立った崖っぷちしか見えなかったなあ。あの岩盤の裏側に藤田の屋敷があるのだろうか?

なんか、大変な事に巻き込まれたな。

とりあえず最近運動してないから山登りだけでもしんどいのに、おそらくトラップも満載なんだろうね。イラクとかパレスチナで、ばったばった人を撃ってきた傭兵がいる中に飛び込んでいくなんて、ピラニアの水槽に金魚を放り込むようなもんだろう。

僕もゴリも武器なんて持ってないぞ、どうすんだ。

そういえば、レンタルしてたDVDがもう一枚残ってたな。アダルトだから、返してもらわないと恥ずかしいよな。死んだ後に、部屋からアダルトDVDが出てきて、会社に延滞金を請求されたなんていったら、妙なところで会社の株が暴落するかもしれない。

もう寝よう。何も考えず寝よう。

いざとなったら逃げ出せばいいじゃないか。

まあ、出来る限り頑張ってみるよ。

しかし、あの時、麻美を強引に口説くべきだった。いや、高校の時付き合っていた麻衣ちゃんにも会っとくべきだった。

でも、もし、死んだらオヤジとオフクロに会えるかな。

考えれば考えるほど、苦しくなる。そして明日起きるであろう出来事を想像すると心の底から恐怖感が湧いてきて体が震えだした。

恐怖が体の中に浸透し始めた頃、僕は眠りについた。


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