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ター坊は、佐藤と京介に、ゲストネームタグ、ゲストIDカードと駐車券を一式渡し、ダットサンに乗り込んできた

「ごめん、康市君、行ってくれる?」

「かなり入館規制が厳しいんだな」

「今日は、屋上で家族会がチャリティーバザーをやっているらしい。こそ泥が紛れ込まないようにセキュリティーレベルを上げているんだろうね。とりあえず地下三階まで降りて」ター坊がそう言うと、康市が彼の指示通りに車を走らせた。

地下三階の駐車場まで降りたのはいいものの、所定の場所が分からなくて困った。何回も床にひかれたラインと、壁の指示をみながら巡回した。

やっと、所定の駐車スペースにたどり着いた時には、すでに佐藤のBMWが止まっていた。

「まだ時間がある。プレゼンの前に、作戦会議といこう」

佐藤と京介に続いて、僕達も車から降りると広い地下駐車場のスペースの床にペイントされたラインに沿って、エレベータの入り口まで歩いた。

ター坊は、今回の仕事では初めて、京介に会うことになる。中学以来だから、何年ぶりになるだろうか。京介は、転校していったター坊のことをしばらく思い出せなかったようだった。だが、文化祭の時の縦笛事件のことは覚えていたらしい。

「あの時、みっちゃんの縦笛なめてたやつが、法律家になってたとはね」

「お前こそ、どうみても企業の要職には見えないよな」

二人は、僕らから少し離れて後ろを歩きながら、何やらボソボソやっていた。

エレベータで1Fのフロアまで上がっり、フロントで受付をすませると待たせていたみんなの所まで戻った。フロアの隅に小さなカフェがあり。

「さてさて、作戦会議もかねて、茶〜シバキマスか?」

「シバキま〜す」

僕がそう言うと、みんな声をそろえた。なんだか学生時代の文化祭のノリだった。


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