正面ゲートの守衛所の横に、BMWが止まっていた。どこかでみたシルバーカラーの車だと思ったら、佐藤の車だった。佐藤と京介が、警備のオジサンと何やら話し込んでいるようだ。
僕たちも車を守衛所の所まで進めた。
「京介さん、どうしたんすか?」
康市が運転席の窓ガラスを下げて尋ねた。
「俺達の名前が、来客名簿に載ってないから、足止めくらってるんだよ」
ター坊が慌ててドアを開け車から飛び降りた。
「ごめん、担当者に京介たちが追加になる事を伝えていなかった。ちょっと待ってて」ター坊が、警備のオジサンから何かをもらっていた。
「悪い。クリケン、急いでこれ書いて」
ター坊から車の窓越しに渡された物を見ると、追加来訪者名簿だった。既に僕と康市の名前が書いてある下に、京介と佐藤の名前を書き加えてター坊に渡した。ター坊はひったくるように名簿を受け取った。
「すみません、これを営業本部の本部長、藤本さくらさんにお取次ぎ願います」ター坊がそういうと、守衛のオジサンが名簿を受け取った。
守衛所のブースの中にあるパソコンにデータを入力した後、どこかに電話をかけた。どうやら確認が取れたらしい。
「これが、今日一日だけ有効なゲストネームタグと、ゲストIDカードです。それとこちらが駐車券です。駐車場の所定の場所に車を停めたら、この駐車券をフロントガラスの所に見えるように置いておいて下さい」
守衛のオジサンは、そう言って、ター坊にカードとタグを手渡した。
「駐車場のB-3D12とB-D313っていうと、地下の奥のほうですよね。どこか近くに停められるとこ空いてませんか? できれば急ぎたいんですよ」
「今日は来訪者が多いし、屋上で社員の家族会の方がチャリティーバザーをやっていてますので、近くの駐車場はスペースがないんですよ。すみません」
「分かりました。ゲートをあげてください」
ター坊がそういうと、オジサンは、守衛所のゲートバーを上げてくれた。 |
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