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一応、面接試験らしく志望理由なんかを全員に尋ねてみたんだけど、「ん〜」とか「べつに〜」とか「なんとなく」とか、髪の毛かきむしりたくなるような答えが返ってくる中、彼女だけは違った。
震えながら言った彼女の言葉を今でも覚えている。
「自分を変えたいんです」
それがどういう意味なのかはわからない。
コミニュケーション能力がないのは、会社としては困るけど、頭脳明晰で抜群のマネジメント能力と、今の時代、国宝級の「マジメ」な勤務態度は「買い」だと思った。
読みは当たった。スキルは超一流だけど社会性のないエンジニアをまとめ、会社としての体裁を保っているのは、彼女のおかげだ。
「ペコちゃん。いつもありがとう」
そう言うと、彼女は微笑みを浮かべてペコリとお辞儀した。
「まじめなのはいいけど、たまには休んでね」
僕は彼女の肩をポンポンと叩くと、奥のスッタフルームへ向かった。
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