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「もう、11時50分を回ってますよ。それにしても、随分ご苦労されたみたいですね」
彼女に続いて、タイゾウも笑いながら話した。
「栗原、鼻血出てるゾ〜。それにしても、ひどい面だな」
「ウルセ〜よ。ちょっと頑張ったんだよ」
話が終わると、島村にUSBメモリを手渡した。
彼女は、それを受け取ると、少し笑みながら話しだした。
「それじゃあ。関口さんを解放するわね。では、また後日御連絡致します」
「ちょっと、待てよ。中身を確認しなくてもいいのか?」
「ええ、いいです。おそらく、間違いないでしょう。それじゃあ、また」
「ちょっと待て。約束の金は…。それに、このデータは…」
彼女は僕の話に耳を傾ける事無く、2つの封筒をテーブルに残し、足早に立ち去った。
封筒の中身を確認すると、2つの封筒に50万ずつピン札が入っていた。
その場に残された、僕とタイゾウはしょうがないので、お互いに封筒を手に取ると店を後にした。
店を出ると、タイゾウは運転代行を呼んで帰ると言いだしたので、僕は店の前に乗り捨てた車に乗り込むと帰宅した。
自宅に戻ると、部屋の明かりも点けずに、再びベットに横になり、目を閉じた。
ああ〜。もう、何もかもイヤになっちゃったな。
でも、バイト代としては、50万はイイね。
だけど、彼女は問題の1億円はまだ見せていない。
何か引っかかるんだよな。
本当にやばい事になる前に、南の島にでも旅立つかな……。
そんな事を思いつつ、今日も眠りについた。
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