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事務所の前まで辿り着くと、車を止め奥の実家の玄関の前で呼び鈴を鳴らした。
しばらくすると、奥から泰蔵が飛び出して来た。
「悪いな。今、風呂入ってたから…」
「そうか…」
二人で、玄関を出ると泰蔵は僕の車の方へ向かって歩いた。
「オイ、泰蔵。お前、車どうするの?」
「全く、お前ってヤツは心配性だね〜。とりあえず、西海岸の方まで乗せて行ってくれ」
「……。ああ、分かった」
僕の車に、二人で乗り込むと西海岸へ向けて走らせた。
しかし、こいつは何を考えているか全く分からない。
しばらくすると助手席の泰蔵が話し出した。
「どうよ、GT-Rの乗りゴゴチは?」
「どうかな…。とりあえず、加速は凄いし、コーナーもタイヤがガッリ喰いついてくる感じだね」
「だろう、そうなんだよ。これこそ、日本車の魂って感じだ。でも、今は、飛ばさなくていいからな」
「ああ…」
泰蔵に言われ、スピードメーターを見ると、90キロを軽くオーバーしている。
車が、安定しているから速度感覚が鈍っているのだろう。
しかし、本当に凄い車だな。
海岸通りを抜け、泰蔵の指示通り西海岸に辿りついた。
西海岸といっても、店などは全く無く。
暗闇の中で、倉庫の明かりがチラホラ見えるだけだ。
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