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車内の時計を見ると、もう9時を回っている。

そろそろ、眠くなってきたな。

そう思いながら、峠を上っていくと、突然後ろから2台のスポーツカーが対向車線を物凄いスピードで追い越していった。

アブネェ〜。ぶつかるかと思った。

しかし、世の中には危険な連中がいるもんだね。

そう思いながら走っていると、案の定一台の軽自動車が事故を起こして左の路肩に止まっていた。

その側で、運転手らしき女の子が一人ポツンと立っている。

車を、左に寄せると、彼女に近寄り話しかけた。

どうやら、さっきの2台のスポーツカーが追い越しざまにドアミラーを接触させたようだ。その反動で、慌ててハンドルを左に切って、路肩の障害物に追突したらしい。

幸い、左前のタイヤがパンクして、ボディーが少しへこんだだけですんだようだ。

かわいそうだけど、どうしょうもないな。

しばらく彼女と話しをしていると、一台のレッカー車がやって来た。

そして彼女の車の前に駐車すると、ドアを開け青いツナギを着た男が出てきた。

彼は、悠然とこちらに向かって歩いてくると僕らに話しかけた。

「ハイ・ハイ・ハイ。事故を起こしたのどちら?俺様がお助けいたしますよ。お嬢ちゃんなら、一夜の甘い夢をプレゼントしちゃうよ〜〜」

彼女が、この男と話している後ろでふと思い出した。

このアフロヘアー。この下品なトーク。そして、明らかに人を見下した態度。

確か、高校の同級生にこんな奴がいたよな。

誰だったかな?

え〜〜〜〜と。

その時、このアフロ野郎が僕に話しかけてきた。

「おい、栗原。ちょっと手を貸してくれ」


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