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昼間、京介と佐藤と話した合った、COLORプログラムを隠ぺいする件は、本当に成功するだろうか。今日起きた出来事を順々に振り返っていると、子供の頃よく母親が言っていた言葉が脳裏をかすめた。

「悪い事をしても、いつかはバレル。おてんとうサマは、いつも見ているんだからね」

よくそんなことを言われたっけか。

でも、今の僕は少しくらい悪い事をしてでも前に出なきゃいけないんだ。

上原が檻に入ることくらいどうってことないじゃないか。ヤツは散々悪事を働いているんだ。むしろ、その方が社会が良くなる。

目を開けると、何か虚しさが心の中を駆け巡っていた。

理香を呼ぶか。あいつがいたら、何かムカつくが、いないとどこか寂しい。

理香に電話しようと携帯電話を取ろうとした時だった。呼び出し音が鳴った。

「理香か?」通話ボタンを押すと、電話の相手はバード博士だった。

「白鳥だが、賢一君かい?」

「はい、賢一です」

「すまないが、今すぐ富国電気のラボまで来てくれないか?」

「何かあったんですか?」

「今、テレビの近くにいるなら、とりあえず、テレビを見てみなさい」

「テレビですか?」

彼の指示通りテレビをつけると、緊急報道番組が流れていた。

どうやら、インターネット上の膨大な掲示板やブログのコメント欄に何者かがスパム的に投稿して、ネットワーク全体に影響が出始めたというものだった。

「賢一君、テレビは見たかね?」

「見ましたけど、……。要は、ブログや掲示板に誰かがボットでスパム投稿してるんでしょう。全く暇な奴がいるもんですね」

「違うんだ。富国電気のクライアントの官公庁や企業のコンピュータの中に保存されていた不正資金名簿などが流出しているらしいんだ。

今現在は、ブログや掲示板の画面上には16進数の0と1の羅列がならんでいるだけだが、変換プログラムを放たれたら日本中に闇資金の問題が流出してしまう。

さっきから、ひっきりなしに、内閣府や経団連から早急に対処するよう、要請がきているんだ。すぐ応援にきてくれたまえ」

「わかりました。とりあえず、今からそちらへ向かいます」

僕は、電話を切ると素早くスーツに着替え、部屋を出ると車に飛び乗った。


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