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「よく知ってるね。そ、俺が周高潔だ。そしてこれがお探しのパープル・パーツ。ナノロボットだよね」

彼はそう言うとポケットから携帯を取り出した。携帯の液晶画面が時々紫に光っている。

でも、なぜだ。なぜ、パープル・パーツが、こいつの携帯の中にあるんだ。なぜナノロボットは逃げださないんだ。

「その、パープル・パーツはどこで手に入れたんだい?」

「これ?これはMSL企画でバイトやってた時に、パソコンから住所録転送しようと思ったら、こいつが勝手に入って来たんだよね」

そうか、やっぱりパソコンから移ったんだ。しかし、なんでパープル・パーツは逃げないんだ。

カラープログラムは、携帯電話の通信網にまだ対応していないってことか。

携帯電話会社のパケット通信網は不正アクセスがとても厳しい。カラープログラムがどういうアルゴリズムになっているかはわからないけど、モバイル通信網を使ってナノロボット同士連絡を取ったりすることができないんだろう。だから、ここでナノロボットがストップしているんだ。

カラープログラムのバグだ。不具合が発生したんだ。ということは、そこを突けば、カラープログラムを搭載した全てのナノロボットを永久に停止させることができるかもしれない。

僕と周のやり取りを聞いていた京介が割って入った。

「どうでもいいんだけど、それ、俺らにくれないかな?お小遣いなら少々はずむけど?」

周が京介を睨んだ。

「富国電気のグループウェアをハッキングしてたら、カラーの情報を見つけたんだよね。だから、このパープル・パーツは富国電気の奴らに、う〜んと大枚はたいて買って貰おうともってんで、ダメダメ・ダメリンコね」

「俺達は富国電気の人間だよ。でも、1円も金は出さないよ。そもそもうちのシステムをハッキングした時点で君は犯罪者だ。告発されたら、刑務所で過ごすだけじゃなくて、一生借金背負う羽目にはるぞ。さっさと渡せ」

「お約束の脅しだね〜ほしかったら、取ってごらん」

「なめんなよ、てめえ」

京介が、周の携帯を取り上げようとした。

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