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「生き返るな」
ゴリの言葉に僕たちは無言でうなずいた。さっきの出来事の後だけに、体にしみるようだった。みんなが水を飲み終わるのを確認すると、ゴリが時計を見ながら話し出した。
「よし、そろそろ行くぞ。これからは、かなりハードになるから覚悟しとけよ。さっきのは、お子様向けの花火みたいなもんだからな」
僕と康市は無言でうなずくと、ゴリの指示に従って歩き出した。
それから、どれくらい歩いたろうか。草をかき分けて歩けど歩けど森が永遠に続く。足が限界に近づいてきた頃に、ようやく森を抜けた。いきなり視界が開けて、崖がそびえていた。
ゴリは、その場にしゃがみ込むとGPSで確認して僕達に話しだした。
「まあ、お前達も座れ。疲れただろう。今のうちに疲労を回復させろ」
僕と康市は、言われるまでもなく、その場に腰を降した。
「よし、今から説明することをよく聞いてくれ。俺たちがいる場所は藤田の屋敷の裏庭の先の崖の下だ」
「この崖の上に家があるんですか?」
「信じられないがな。GPSの位置からすると間違いない。時間からすると、先発隊が潜入して鎮圧作戦を開始している頃だ。とりあえず狙撃されることもないはずだから、俺達は今からこの崖を登って藤田の家に潜入する。上に行ったら、情報を確認しながら作戦を練ろう」
「ちょっと、ゴリさん。この崖を登るって言っても…」
「たかだか傾斜30度弱の崖も登れないのか? これくらいのことができないなら、これから先の命の保障はないぞ。気合を入れて俺についてこい」
ゴリは振り返りもせずに一人崖を登り出した。僕と康市も渋々彼に続いて、登り始めた。
そういえば、康市がプロの登山家でも二ノ岳は登らないって言ってたっけ。
案の定、何度となく転落しかけたが、なんとかゴリの後に続くことができた。
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