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しばらくすると康市は、すべるようにして、木から降りてきた。
「賢一さん、楽勝ですよ。木の上に登ったらセンサーがあったんですけど、電源は太陽電池からとってるみたいだったんで、太陽電池に木の葉をかぶせた後、コネクターを外してセンサーのスイッチもオフってきました。たぶん、たまたま木の葉がかぶってセンサーが動作しなくなったんじゃないでしょうか」
「そうか、よかったよかった。これで安心して水が飲めるな」
僕らがゴリのいる所まで歩き出したその瞬間、森の中から乾いた音がした。同時に何かが、僕たちのそばをかすめて飛んでいった。銃弾だ。まずい。
「賢一さん、伏せて」
康市が僕に向かって手を伸ばす前に、僕は康市の頭に飛びかかるようにして、地べたに伏せていた。間一髪、耳元をかすめた銃弾をかわすことができた。
次の瞬間、渇いた音が連続して、周囲の木々が倒れはじめた。銃弾の雨で頭を上げることもできなくなった。
「ひいいいいっ!」
康市が悲鳴をあげた。僕は声すらあげられなかった。だが、その銃声もすぐに止まった。おそるおそる頭を上げてみる。
「康市、お前確かセンサーの電源切ったって言ったよな?」
「分かりません。でも、なんかおかしくないですか? あれは人が銃撃しているものなんでしょうか? もし傭兵が隠れているなら、今頃接近してきて、俺たち殺されてるんじゃ……」
そういえば……。じゃあ、さっきのは何かのトラップか。康市が伏せたまま、目の前の小さな木の枝を取り、銃声がした方に投げた。
何も起きない。でも、立ち上がるのは怖い。
その時、僕の後ろの方から枯葉を踏む音が近づいてきた。ゴリだった。
「お前ら、起きろ。もうだいじょうぶだ」
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