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僕とゴリの話が落ち着くと、オジサンがまた話し出した。

「それから、ちょうどみんなが集まったので大事な話をしたい。私も最近、体調がすぐれない。義明兄さんもそうだったが、私達兄弟は幼い頃被爆していて同じ世代の人間よりは、健康に不安がある。ここで私の持ち株を全て賢一に譲渡し、引退しようと思う。

賢一、お前は義明兄さんから相続した株と私の持ち株を合わせて発行済み株式54・13%の議決権ベース株式を保有する筆頭株主になる。

もう、この会社はお前のもだ。お前は、どう思っているか分からないが、ここにいる全員がお前のオヤジさんの部下で、お前に跡を継がせるために今まで必死に頑張ってきた。私達は、残りの余生を気ままに楽しませて貰いたい」

オジサンの話に他の重役の人達も目を閉じて黙って首を縦に振っていた。

「ちょっと待ってください。僕にはまだこんな大役務まりませんよ」

その時、佐々木常務が目を見開き話し出した。

「賢一君、私達は、多かれ少なかれ後10年前後しか生きられないんだ。私は残りの余生を妻と釣りをしながら毎日をエンジョイしたいと思ってる。君も自分で起こした会社を経営してきたのなら、分かるだろう。もう疲れたんだよ。それに、これだけ急速に発展している経済システムに対応出来ない。私たちの時代は終わった。老兵は去るのみだ」

オジサンは僕の目を見るとまた話し始めた。

「賢一、今我が社が抱えているこの問題が世間に洩れると、急速に株価が下がる。そこをハゲタカ共が狙ってくる可能性がある。慎重に行動して貰いたい。それから、人事の方はこの件が終息に向かう頃にやればいい。今は、カラープログラムの処理について集中してほしい」

張り詰めた空気が漂っていたが、オジサンの言葉に場の空気がなごみ、みんな納得したので解散となった。

僕とゴリは、その日のうちに準備し、美森市へ向かったのは言うまでもない。

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