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今まで無言で走り続けていた京介が息を切らしながら話しかけてきた。

「やっぱ、あれだな、なんか、映画のヒーローみたいにガツガツは走れないな」

「そうだね〜。普段から運動してないし、おまけにこの暗闇だ。走るとかえって危ないかもしれない。とりあえず、このまま歩こう。康市、あとどれくらいで着きそうだ?」

後ろを歩いてた康市が僕の横に来ると話し出した。

「そうですね、後20分くらいですかね〜。それはそうと、もしウチのオヤジからジェネ借りれたとしても4トンのユニックに積み込んで持っていかなきゃいけないんですよ。今、町の中は事故車両で道がふさがれていて、通り抜け出来ないところもあるでしょう。どうします?」

「ちっきしょ〜〜ムカつくぜ。どうしようもないだろう。とりあえず、成り行きしだいで進むしかねえ。て、いうか今日はどうなってんのよ。確か俺達つい2時間前まで人生最高って言いながら宴を繰りひろげてたよな」

京介が少し苦笑した後、僕の顔を見て話し出した。

「いつものお前らしくないな。こういう逆境に立たされた時ほど冷静にならないと。どうせ俺たちは死んだって天国に行けない人種なんだからな。今のうちに地獄でも楽しめるように訓練してると思えばいいさ」

京介の言葉に、僕の思考回路は冷却機能が回復したようだった。

そうだな。これからの人生の中で山ほど辛い事が出てくるだろう。今回のことよりも、もっと厳しい修羅場をくぐることだってあるはずだ。

この世を生き抜いて楽しい人生は送る最高の知恵は、逆境を楽しむことだ。

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