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お前のオヤジさんもオフクロさんもさぞかし喜んでいるだろ。
お前のプロジェクトの説明を聞かせてもらった。身内びいきするつもりはないが、面白いし収益性もある話だと思う。何より思想が感じられる。
かつて、ソニーやトヨタが事業を発展させることで、国を復興させたように、お前のプロジェクトで幸福を手にする人がたくさん現れるだろう。このプロジェクトは、いくら金をかけてもかまわん。いくらでも資金調達する。絶対に成功させなさい」
「ありがとう」
「ところで賢一、ここまでやるのなら、もうそろそろ東京に来て本腰を入れて見てはどうだ。確かに、ここ美森市はワシとお前のオヤジさんが生まれ育った街だし、いい所だ。
だが、男はもっと大きな舞台で戦って見ないと分からないことも沢山あるぞ。とりあえず、中野さんに話をつけておく。ゆっくり考えてみなさい」
富国電気のブレーンの人たちと名刺交換をすませていると、叔父はグローバル・エージェンシーの中野社長のところに足を向けた。そして、なにやらボソボソと話した後、壇上を降りようとした。
「そうそう、忘れていた。賢一、もうそろそろ嫁をもらってはどうだ。会社という所帯以外に家庭という所帯も持たないと、いい仕事はできないぞ。じゃあ、返事を待ってるぞ」
そういい残すと、シークレットサービスやブレーンの人たちに囲まれて退場していった。
なにがなんだか分からないうちに、どうやら僕達が今度のプロジェクトは、受注できたようだ。仕事にありつけなかった他の企業は、さっさと退場しはじめた。
僕らも長居するつもりはない。グローバル・エージェンシーの人達と名刺交換をしたり、挨拶を交わして会場から退出した。
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