しばらく走ると、少しずつパトカーを引き離す事が出来た。
しかし、遠巻きながら僕達を追いかけて来ている。
やがて、ゆるやかなカーブに差し掛かり、バックミラーにパトカーの赤いランプが映らなくなると、泰蔵は急ブレーキーを踏み左の茂みの方に入って行った。
僕も彼に続いて、急ブレーキをかけると左に曲がり獣道のような道を進む。
しばらく走ると、泰蔵は車を停め、エンジンを切ると外に出てきた。
僕もエンジンを切り、車外へ出る。
泰蔵は、タバコに火を点けながら話し出した。
「まあ、これで逃げ切れなかったらしょうがねぇ〜な」
「大丈夫なの?」
「分からない。でも、あのカーブに差し掛かった時点で、パトカーから俺たちは見えなくなっていただろうから。多分、大丈夫だと思う」
やがて、暗闇の向こうからパトカーのサイレン音が近づいてくるとともに、赤いランプの光が遠くの方で左から右に移動するとサイレン音とともに闇に消えていった。
泰蔵がタバコを消すと話し出した。
「どうやら、上手く撒いたようだな。で、これからどうする?」
「どうしようか?」
「じゃあ、上に行くか?」 |
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