車を走らせた瞬間思った。GT-Rの強化クラッチは、さすがに重いな。
オマケに、パワー出すぎだ。
僕が、アタフタしながら運転していると、泰蔵が窓の外を見ながら話だした。
「今日の夜、空いてるか?」
「うん、大丈夫だ」
「よし、それじゃあ。仕事終わったら一旦家に帰って、9時頃もう一度家に来てくれ」
「分かった。でも、何で?」
「ヤッパ、ちょっとは練習しとかないといけないだろう?」
「そうだね。ところで、泰蔵は車どうするの?お前の所には、とてもバトル出来そうな車はないだろう?」
「HA・UWOO・HO!まあ、それは今夜のお楽しみって事で」
「そうか…」
まあ、彼なりに何か考えているのだろう。しかし、こいつは時々意味不明な雄叫びをあげるな。
それから、いつものように食事を済ませ、会社に戻ると、夕方まで働き帰宅した。
玄関を開け部屋の中に入ると、電話機の留守番ランプが点滅している事に気付いた。
留守電を聞くと、弁護士から折り返し電話してくれとの事だった。
何気に電話してみると、依頼されていた案件がある程度片付いたという話だった。
どうやら、富国電気被害者の会とも折り合いがつき、僅かながらお金が戻ってくるらしい。
部屋の方も引き払い、処分出来ない物が数点あるので送ってくれるらしい。
ついでに、理香の事も聞いてみた。
彼女は、向こうで上手くやっているらしい。
今のところ美森に帰る気はないようだ。僕の部屋を引き払う際も彼女が手伝ってくれたらしい。
最後に、礼を告げると電話を切った。
全てが、終わった。終わったというか始まったのかな。
ただ、電話の側でしばらく立ちすくしたまま、涙ぐんでいた。
ほっとしたところで、ベットに横になると目を閉じた。 |
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