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もうすぐ、8時になるところだ。

慌てて、部屋を飛び出すと車に乗り、関口自動車へ向かう。

途中、ちょっとした渋滞に巻き込まれ、車が立ち往生し、ハンドルを握り締めたまま、軽くため息をついた。

あらためて思うが、普通の人は大変だな。

自分が今まで、どれほど優雅な生活をしていたのか、身に染みて分かった。

優雅な生活?

いや、堕落していただけだろう…。

程なく、関口自動車に辿りつくと、事務所の前に車を止めた。

この辺りは、かなり田舎なので路上駐車しても、誰にも文句を言われる事がない。

事務所に入ると、すでに泰蔵が来ており。その隣には40過ぎの男性が立っていた。

泰蔵は、僕の顔を見るなり話し出した。

「オ〜シ。とりあえず、初日は遅刻しなかったな。じゃあ、紹介するぜ。この人は、斉藤さんだ。ウチの工場長をやってもらってる」

彼がそう言うと、斉藤さんが会釈した。

「どうも、斉藤です」

「栗原です。宜しくお願いします」

「いや、こちらこそ宜しく」

斉藤さんと挨拶を交わすと、再び泰蔵が話し出した。

「いや、まあ。お恥ずかしい話なんだけど…。結局、俺と、オヤジさんと斉藤さんの3人で今までこの工場を切り盛りしてたんだよ。なんか、今の若い奴って車に興味もないし、採用してもすぐ辞めるからな…」

「あ〜。そうだね。でも、今はどこの業界でもそんな感じだよ。特にIT関連なんて酷くて。渡り鳥みたいな感じだよ」

「だよな…。でも、お前が来てくれたから、今日からは4人だ」


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