人影は、見当たらない。
砂浜を一歩踏みしめる度に、理香の事を思い出した。
きっと、彼女は僕の事を、それ程愛してはいなかっただろう。
ただ、僕は彼女の事を本気で愛していた。
愛していたというよりは、精神的な繋がりを求めていたというのが本音なのかもしれない。
どれ位歩いただろうか、車を止めた場所が分からないくらい遠くまで来てしまった。
両手を伸ばし、思いっきり深呼吸する。
頭上の太陽が眩しい。
また、今来た道を戻り何とか車までたどり着いた。
腕時計を見ると、昼の1時を回っている。
飯でも、食べるか。
エンジンを掛け、車を走らせると海岸線をただひたすらと突き進んだ。
20分位走ると、古びれた昭和の臭いのするドライブインが目に入ってきた。
ドライブインに入ると、そそくさと食事を済ませた。
そして、また車に乗り込むと、ただひたすら走り続けた。
ちょうど、日が沈みかけた頃小さな町の入り口付近に辿りついた。
都会でも田舎でもない町だ。
目の前には、ビジネスホテルらしきものがる。
ダメもとで、ホテルの駐車場に車を止めると、フロントへ向かった。
フロントで従業員に予約してないが、泊まれるかと尋ねてみると、難無く了承してくれた。
一度、駐車場に戻り車から荷物を持ってくるとフロントの従業員が部屋まで案内してくれた。
部屋に入ると、荷物を床に置き、ベットに寝そべった。
さすがに、一日中車の中で生活していると、体を伸ばしたくなる。
テレビを点け、ボーっと見ていると、いつのまにか眠りについた。 |
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