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部屋着に着替え、ベットに倒れこみ目を閉じた。

「ケンちゃん、ケンちゃん」

「ハァ〜」

理香の声で目覚めた。

「なんだよ」

「なんだよじゃあないよ。今日、どうだったの?」

「いや、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年だよ」

「え、刑務所に入るの?」

「いや、3年間悪さをしなかったら入らなくていいよ。執行猶予っていうのは、刑を3年間猶予するってこと。つまり、あなたは今回悪い事をしたけど、刑務所に入るよりは一般社会の中で生活をしながら反省しなさいってことだよ」

「とりあえず。ギリギリ、セーフ?」

「ああ。セーフだ」

「そう、よかったね」

「うん。今まで支えてくれてありがとね」

「……。なんか照れるね」

「そう?」

「ケンちゃんが、心の底から優しい言葉をかけてくれたの初めてだから…」

確かに、そうかもな。

ここ、5〜6年必死に頑張って生きてきたが、人に気配りをする余裕なんて全くなかった。

役職を解かれ、身軽になったぶん、人の気持ちが分かるようになったようだ。

「あの〜。帰って来て何も食べずに寝たんで腹へってるんだけど」

「そう、でも今日は何もないよ。ケンちゃん、外で何か食べてくると思ったから」

彼女は、そう言いながキッチンに向かった。

そして、レトルトのカレーを見つけると、温めて皿によそって戻ってきた。

僕は、それを食べ終わるとリビングで彼女と夜明けまで語り明かした。


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