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ヤスオは、目の前の小さな喫茶店のような店のドアを開けると中に入った。

僕も彼の後に続いて中に入る。

小さな店内には、コスプレの衣装を身にまとった女の子達が数人働いている。

僕らに気づいた1人の女の子が、オーダーを取りに来たので二人ともコーヒーを頼んだ。

そして、二人ともしばらくボーっとしていると、コスプレの彼女がコーヒーを持ってきてくれた。

何気にヤスオに話しかけた。

「お前、この店よく来るの?」

「いや、始めてだよ。でも、他のメイド系はたまに行くよ」

「そうなんだ。でも、ここってキモヲタばかりだよな」

「まあ、そう言われればそうだけど…」

「それより、会社の方はどうなってんの?」

「ご想像の通り、キョウちゃんの独裁体制になってるよ。今の所は、みんな何の弊害もなく仕事できているけど、いつ首を切られるか分からないからビクビクしてる。特にゴリさんは落ち込んでいるみたいで、あまり他の人と話をしないみたいだよ」

「ふ〜む。そうか。ま、ゴリさんはともかく他の人達にとっては大迷惑だな。ところで佐藤は元気でやってる?」

「そ、それは…」

「え、どうしたの?」

「ケンちゃん、怒らないで聞いてね。あくまでもこれは噂なんだけど、佐藤君はキョウちゃんに寝返ったらしいよ。おまけに、来年の株主総会の場で佐藤君が富国電気の常務取締役に選任されるって話だよ」

「……そうか」

「どう思う?」

「いや、どう思うって言われても…。でも、僕は彼を信じるよ。それに、彼なりに何か作戦があるのかもしれないしな」


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