無料オンライン小説 COLOR 悪魔の抱擁



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ドラッグも問題だが、マスコミのほうがよほど有害な気もする。地上デジタルなんてやる必要があるのか分からないのに、テレビを点ければ、画面の右上に「アナログ」って表示が必ず出る。

まるで、早く古いテレビを捨てて、新しいテレビを買いなさいって言っているみたいだ。

まったく、この国の政治家も財界人もどうしょうもねぇな。

環境問題に本当に取り組むのなら、1度買ったテレビを映らなくなるまで使い続けるべきじゃないの? 

拘置所の中で、僕を取り調べた検察官が言っていたが。本当に利益と権利を主張するくせに、物事の本質を見失っている奴らばっかだ。

くだらない事ばかり考えていると、少し小腹空いてきた。

ピザ屋に電話を入れ、適当にオーダーし、しばらく待った。

10分位経つとピザ屋が来たので代金を支払い、ピザを受け取るとダイニングのテーブルの上に置いた。

大きなピザを全て食べ切れそうもない。1ピースだけ手にしてかじりながら、またソファーに寝そべり、天井を見上げた。

どこからともなく、溜息が漏れる。

これから、どうやって生きていけば、良いのだろう…。

気付けば、フリダシに戻されている。

いや、あの頃は、ニートでギャングスターだったが、愛と夢と希望に満ち溢れた生活を送っていた。

しかし、今の僕は、プー太郎の被告人だ。

つまらないことを考えていると、電話の呼び出し音が鳴り響いた。

どうせ、またくだらないマスコミ連中だろう。

しばらく放置していると呼び出し音が鳴り止み、留守番電話に切り替わった。

女性の声で何やらメッセージを話している。誰だ?

理香だ。慌てて受話器を手に取った。

「もしもし…」

「え、ケンちゃん?」


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