ヤスオがいじっているコンピュータ画面の中に、僕達の体が映し出されている。
なんということだ。
僕達全員がナノロボットに侵食されているのが分かった。
おそらく、あのOLを取り押さえた時にでも感染したんだろう。
いや、ずっと前から感染していたのかも知れない。
そして、僕らがCOLORプログラムを停止させようとすると、命を奪われる危険性がある。
それだけじゃない。日本各地の主要な公共機関や施設のシステムも、すでにCOLORプログラムに制圧されている。
あまりに、リスクが高い。どうしたらいいんだ?一瞬、妙な考えが心の端によぎった。
人の事はこの際どうでもいい。僕さえ生き残ればいい。そうだ、逃げ出そう。
地の果てまでも、逃げてやる。
ほら、今ならオヤジのクローンをうまくおだてて自分だけ助けてもらうことだってできるじゃないか。
ヤバイな。また臆病風に吹かれて自分を見失うところだった。
考えろ、考えろ、道を開け。何故、オヤジのクローンは僕たちをここに呼び寄せたのか。
呼び寄せる理由があったからに違いない。つまり、オヤジのクローンは自分だけでは、目的を達成できないってわけだ。
現にさっきも、「一緒に革命を起こそう」って言ってたじゃないか。
ということは、交渉する事が出来るな。
交渉するふりをして、一つ一つ人質になっているシステムを開放させてから、こいつを壊そう。
どうせ、機械の固まりだ。僕の心の内側までは、読めないだろう。
ヤスオに耳打ちする。
「交渉トリックをやる。お前は、速やかにプログラムを停止させる方法をみつけてくれ」 |
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