無料オンライン小説 COLOR 屁のツッパリはいらんですよ



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風邪の季節がやって来た

駐車場に車を止め、富国電気の正面玄関入り口までたどり着くと、11時を回ったところだった。

あと、一時間くらい遊んでくればよかったと思ったが、今はそんな時ではない。エレベーターに乗り込むと、商品管理室のフロアーで降りた。

窓越しに、商品管理室を覗き込んで見ると、至って穏やかな雰囲気だ。どうやら、ゴリは出払っているようだ。ありがたい。あいつがいると、話がややこしくなりかねない。

ネクタイを軽く締めると、商品管理室のドアを開けた。冴島が僕に気付いて、パソコンをいじっている手を止めて軽く会釈した。

僕も、軽く会釈した後、パーティション越しの緊急対策課へ向かって歩いた。不自然に思われないように意識すると、なんとなくぎこちなくなってしまう。

緊急対策課のブースに入ると、今日は京介と佐藤しか出社していないようだ。

「佐藤君、今日は2人だけしか出社してないの?」

「はい。ゴリさんは今、外に出てクライアントと打ち合わせしているので2時過ぎにならないと戻ってこられないようです。田畑さんは、庶務課の緊急案件に対応しているので、今日はこちらの方には、出て来られないようです」

「康市は?」

康市君は、美森のITコンサルティングに出社した後、こちらに戻る予定だったのですが、風邪をこじらせて美森の実家で休んでいます」

「そうか……。康市が風邪ねえ。てっきりバカは風邪ひかないものだと思ってたんだがな……」


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