白いペンキで塗装された、そのドアは、小さなノブがあるだけのシンプルなものだ。
おもむろに上の方を見てみると、監視カメラらしきものが設置されている。
しばらくすると、ドアが開き中から用心棒らしき黒人男性が現われて、僕達を無理やり連れて来た男達と、話を始めた。
「中に入りたまえ」
彼の言葉を聞いた瞬間、背中にピストルを突きつけられる感触が走った。抵抗するのは無理だ。言われた通りに部屋に入る事にした。
室内に入ると黒いカーテンが上から垂れ下がっており、その向こう側から、何かにぎやかしい声が聞こえる。
先導していた用心棒の黒人男性がカーテンをめくると、カジノバーらしきものが現われた。
室内には、およそ4〜50人近くの客がおり、ほとんどの人が、俗世間で言う所のセレブという人種だ。芸能人・企業家・政治家、テレビや新聞でしか見た事のない人々が楽しそうにギャンブルを楽しんでいる。なるほど、裏カジノか。
僕らを連れて来たスーツの男達は、僕に奥の部屋に行くように指示した。こうなると抵抗するだけ無駄だ。僕と理香は彼らに言われるがまま歩いた。
そして、奥のアコーディオン・カーテンで区切られた部屋へ通された。 |
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