無料オンライン小説 COLOR 愛と友情の讃歌



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このゲームは、ほんとに暇つぶしゲームで、メダルをいくら獲得しても換金出来ないし、おまけに景品を獲得できるわけでもない。まあでも、金もかからないし、可愛い女の子が近くを歩いているとナンパも出来るし、最高ですな。

ほどなくすると、僕の手持ちのメダルがなくなってきた。

「ヤスオ、こっち、メダルがないんで、ちょっとちょうだい」

「いいよ」

彼は、たまたまゲットした100枚ほどの自分のメダルを、僕に渡した。

「サンキュ」

始めた頃はくだらないと思っていたけど、ハマッテしまうものだ。

それからしばらく夢中になってコインを追いかけた。

「ヤスオ、100枚ゲットしたから、さっきの返すよ」

さっき借りたメダルを返そうとして横を向いた時だった。ヤスオの雰囲気がおかしい事に気付いた。誰かがヤスオに絡んでいる。よくみると、中学校の時のヤバイ先輩が立っていた。

ファイヤー・サダ。そう、僕らがもっとも嫌いな先輩だった山岡定之がヤスオから金を巻き上げようとしている。相変わらず馬鹿っぷり炸裂のスタイルだった。

「サダチャン。なにやってんですか?」

「誰だ、おまえ?」

「中学の時、1コ下だった栗原です」

「おう、久しぶり。いやさ、ちょっと金がないから、こいつにめぐんでもらってんのよ」

こいつは、よほどのバカだ。30歳近くになるのに、いまだにゲーセンでカツアゲかよ……。馬鹿っぷり炸裂な格好を見なくても分かるけど、どうやら定職にもついていないようだ。あっちゃ〜こんなところで会うとはな。おいおい、勘弁してくれよ。

「サダチャン。勘弁してやってくださいよ。僕ら、久しぶりに東京から帰ってきたんですから」

「うるせ〜よ。東京から帰ってきたってことは、金持ってんだろう。栗原、お前も有り金吐き出せや」

そう言ったかと思うと、サダは、襲い掛かってきた。中学の時に、散々ヤラレタ記憶が脳裏をよぎった。一瞬、体がすくんでしまったが、次の瞬間、僕はサダを殴っていた。

彼は、一瞬ふらついて、床に膝をついた。腹を両手で押さえたまま、僕の顔を睨んでいる。


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