ビルから出ると僕らはしばらく歩き、タクシーをひろうと本牧埠頭に向かった。
時計を見ると、もう9時をまわっている。早く切り上げてホテルに戻りたい。いっそのこと何もわからなければ、このままホテルに戻ってベットに入ることもできたのに。そうは思ってみたものの、こうなったら仕方がない。本牧埠頭の倉庫に周が現れるかどうかもわからないが、行ってみないわけにはいかない。
横浜の夜景はさすがに綺麗だ。僕らは、無言で流れていく夜景を見ていた。
埠頭の入り口に差し掛かった場所でタクシーを止めてもらい、運転手にしばらく待っていてもらうようにお願いした。
運転手は、首をかしげていたが、一万円札を2枚握らせると、僕らの我がままを聞いてくれた。ここでも不況の影響がまだ続いているようだ。
MSL企画で貰った地図を広げてみた。暗くて見づらい。それなりに、明るいのに、地図の細かい文字を読める明るさではない。仕方なく、ZIPPOライターを点け、地図を見た。ようやく地図の小さな文字が見えるようになった。
今、僕らのいる場所から10〜15分くらい歩いた所に、今は使われていない小さな倉庫があるらしい。京介が僕の横に来て呟いた。
「なんだか、アキラの時と同じパターンだな」
「そうだな……」
「お前、あの時アキラを殺しておけばよかったと思ってない?」
「思ってる」
「俺も……警察署長から預かった銃でとどめ刺しときゃよかった。つくづく疫病神だぜ」 |
|