店を出ると京介が呟いた。
「今日は横浜を堪能できたな。でも、明日会社に帰ってなんて言い訳したらいいんだろう」
「そうだね。とりあえず、この領収書はキチンと落ちるのかな?」
ヤスオが僕に領収書の催促をしている。
「分かったよ。その、領収書かせよ」
僕は、そう言うとヤスオから領収書を受け取り、胸ポケットにしまった。
いつのまにか、店の外は夜になっていた。中華街がネオンで輝いている。
僕らは誰が言い出したわけでもなく歩き出し、しばらくすると後ろから小さな声がした。
「ちょっと、ちょっと待ってください」
振り返ると、さっきの店で僕らに料理を運んできていたウェイターだった。
すごい形相だ。みんな、顔を見合わせて唖然としてしまった。
「ちょっと、いいですか?」
「何ですか?御代ならキチンと払いましたよ。ちゃんと領収書もありますよ」
僕がそう言い胸ポケットにある領収書を取り出そうとすると、彼は慌てて話し出した。
「いえ、そう言う事じゃなくて……。あなたたちが、食事をしながら話していたカラーだとかパープルだとか、そんな話を、昨日うちの店の二代目がされていたもので…」 |
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