無料オンライン小説 COLOR 心海に眠る友情と劣等感



 > トップ


屋上からダイブ?

あれから三ヶ月の月日が流れた。結局、美森にいる間に、COLORプログラムの全容を解明できなかった。

僕はまた、東京に戻って、富国電気本社の商品管理室・緊急対策課でパソコンとにらめっこしている。

緊急対策課といっても、社内に新しいセクションができたわけじゃない。商品管理室の中に、パーテーションで区切られたスペースを作って机を4つ並べただけだ。

あくまでCOLORの件は社内でも機密事項なのだ。ゴリのうっとうしい顔を見なくてすむようになったのはよかったが、秘密裏に仕事を進めなければいけないのは、かなり辛い。ストレスはたまる一方だ。

僕と京介は、出社すると同時にパソコンに向かい、カラープログラムが妙な動きをしていないか、ブラウジングチェックしっぱなしの毎日を送っている。それだけじゃない。カラープログラムに関する情報をあちこちから収集している。

端々の情報は手に入るものの、これといった情報は手に入らない。せめて、MrCOLORのメールから、なにかたどれないかと思ったが、不思議なことに、あの日以来Mr.COLORを名乗るメールが全く送られてこなくなった。

ラボ(研究室)の方も、レッドパーツの解析にてこずっているようで、いまだに何もつかみきれていない。深夜の帰宅が続くせいか、京介もストレスがたまっているようだ。

京介は、机の上に嫁と娘の写真を飾っている。仕事の合間に手に取って家族の写真を眺めるのが、唯一の楽しみっていうのも、気の毒な話だ。

佐藤と康市は週3〜4日程度、富国電気に出社してくる。

できれば、富国電機に残って、一緒にCOLORの追跡をしてほしいところだが、美森市のオフィスと、ブルー・アース・プロジェクトの仕事があるので、ここに張り付けない状態なのだ。

結果が見えない仕事の中で、三ヶ月が過ぎたが、その中でも楽しいことはあった。

佐藤が、たこ焼き屋の彼女と結婚したことだ。この日ばかりは仕事を休んで美森に戻って、盛大に祝った。

彼女は慎ましやかな人で、家庭的な人だった。佐藤が美森市内で一番ゴージャスな披露宴会場を予約しようとしたら、彼女はタロチャンでみんなに祝ってもらうことを望んだ。結局佐藤も折れて、仲間を集めてタロチャンで小さな披露宴をした。


PR広告
Copyrights (C) 2005 COLOR. All Rights Reserved