しばらく沈黙が続いた後、藤田が口を開いた。
「武器を下に置き、両手を上げて向こうの壁に体をつけろ」
僕らは、彼の指示に従った。もうどうしようもない。抵抗するまもなく、兵隊達は僕らの体をチェックして所持していた装備品をすべて取り上げた。
「よし、こちらを向きなさい」
藤田は、シワだらけの顔を僕の方に近づけた。
「私は、藤田正治という者だ。ここまで来たからには、何かあるんだろうが、一体何の用だ?」
「俺は、栗原義明の息子で栗原賢一だ。あんたがレッド・パーツを隠し持っていることは分かっているんだ。それを取り戻しに来た」
僕がそう言うと、藤田の態度が一変した。
「おお、義明の息子か。まあ、大きくなったもんじゃ。しかし、その言葉使いは耳にさわるな。礼儀を知らんと見える。まあ、そういうところも親父によく似ておるわい」
藤田は右手に持っている杖で僕の頭を軽く叩いて笑った。
なぶり殺しにするつもりか。藤田の表情が全く読めない。苛立っていると、スーツを着た大柄な男が部屋の中に入って来た。肩に4、5歳の少女を乗せている。
「御前、連れて参りました」
大柄な男がそのまま片膝をつくと、男は肩から少女を降ろした。
藤田はその少女を見ると、また僕に話し出した。
「賢一とかいったか? まあ、こんな山奥までよく来てくれて礼を言うぞ。お前が言っていたレッドパーツという奴はここにある」 |
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