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武装御殿へようこそ

「ほら、手を出せ」

崖を登り終えたゴリが手を差し出した。手を差し出す間もなく、引っ張り上げられた。

「ゴリさん、ここって?」

「しゃべるな。ここが藤田の屋敷だ。雰囲気からして、先発隊が鎮圧を終えたようだが、トラップまでは除去できてないかもしれん。とりあえずあの垣根の影に隠れて作戦を練ろう。ほふく前進で俺に続け」

ゴリに続いて、見よう見まねで、ほふく前進を続け、木の影に隠れた。そっと盗み見てると、目の前に見える藤田の家の裏庭は、さっきまでの風景とは別世界だった。

芝生が広がり庭の中央には噴水があって、いかにもどこかの資産家の庭という感じだ。

ただ、ここは誰も足を踏み入れない山の上なのだ。しかもさっきのトラップをしかけた張本人で、この国の影の支配者の住処なのだ。

さっきみたいな生ぬるいトラップじゃすまない武装で固められてるにちがいない。

僕たちは、そのまましばらく身を隠して様子を見ることにした。

家の奥からは時々銃声らしき音が聞こえるが、僕らがいる裏庭の方には人影がない。

ゴリは人差し指を唇にあてたまま、ずっと中の様子をうかがっていた。

「どうやら計画が狂ったようだ。予定では、この時点で藤田を拘束した傭兵達が、裏庭に集まってくるはずだったんだが」

ゴリが唇をかみながら言った。手元の時計を見る。AM:11:12分だ。予定より12分オーバーか。おそらく傭兵でも予測できないような仕掛けが屋敷の中にあったのだろう。

「味方が全滅したようだ。市街戦や突入のエキスパートがやられるなんて、どんな仕掛けが屋敷の中にあるんだ?」

ゴリが言った。スコープの中に表示されている味方の人数が0になってる。本当に傭兵たちが全員やられてしまったらしい。


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