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「わかりました」

「先を急ごう。逐次、指示を出す。機敏に動いてくれ」

「了解しました。ゴリ上等兵」なんて、冗談はさすがに言えなかった。僕たちはすでに戦場の中にいるのだ。

納屋を出ると無言のまま、ゴリの後ろについて歩いた。村上さんの家の出口まで来た時だった。誰かが門柱にもたれかかって、僕の方を見ていた。康市だった。

「マジかよ?」僕は、康市のそばに駆け寄った。

「おい康市、お前なんでこんなところにいるんだ? どこで、僕がここにいることを知った?」

「京介さんからCOLORプログラムの事を聞いちゃったんですよ。今から、COLORプログラムをストップさせるパーツを取りに行くんでしょう?」

「京介がCOLORのことを? でも、なぜここが?」

「京介さんがどうやってCOLORのことを知ったのかは聞いてないっすけど、驚きましたよ。死にに行くようなもんじゃないすか。だから、慌ててやってきたんです。二の岳に行くんでしょう? あそこに行くとしたら、村上さんちで夜を明かすしかないっすからね」

「京介のやつ、余計なことを」

そう言ってはみたものの、僕はうれしかった。おそらく富国電気の広報からうまく情報を拾って、康市にリークしたんだろう。

結婚して子供もいるし、富国電気にいる以上、COLORのことを探ってリークすることは、京介にとってギリギリの選択だったはずだ。ありがたい。離れているのに、京介としっかりつながっていることを感じる。やっぱり苦しい時期を一緒に過ごしてきた仲だ。

思わず涙がこぼれそうになった。

「俺の実家、村上さんの家の裏なんですよ。この山は、俺の庭みたいなもんっす。ですから、俺もいっしょに連れて行ってください。たしかに会社も大きくなって、でかいプロジェクト任されるようになって責任も感じています。親父やお袋にも親孝行するためにも、今の仕事を放棄するわけにはいきません。

でも俺は、やっぱり賢一さんについて行きたいんだ。だって、そうだろう? 路地裏のチンピラから這い上ってこれたのも、アンタのおかげなんだ。頼むから連れていってくれよ」

「お前は、今の自分を大事にしろ」


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