無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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スーパーカーとお兄さん

美森市に着くと街は暗闇に包まれていた。

三ヶ月ぶりの懐かしい故郷のにおいだ。手元の時計を見るともう11時近くになっている。僕とゴリは駅前のターミナルからタクシーに乗ると犬井山のふもとの村上さんという農家の家を目指した。

なんでもゴリの知り合いの家らしい。

僕らは村上さんの家に着くと離れの納屋に案内された。

納屋の中は薄暗く裸電球が一つぶら下がってるだけだった。それを燈すと少しばかり場がなごんだ。

「ゴリさん、どうして納屋なんですか? せっかく泊めてくださるって言っているのに」

「バカ野郎。おそらく藤田は、俺たちが東京を出て美森に入った事に気づいて監視を始めているだろう。当然ここの御主人にも迷惑を掛けるわけにいかないだろう。だから今日は、ココで寝るんだ」

「はい、でも僕の横にトラクターがあるのがなんか不自然で寝付けそうにないんですけど」

「気にするな。あと4時間でここを発たないと夜が明けてしまうから少し我慢しろ」

「布団は?」

「いちいちうるさい。人間は横になっているだけでも体力を回復出来るんだ。そんなことじゃ自衛官として生き残れないぞ」

あの……。いつのまに戦闘モードに入ってるんでしょうか。というか僕、自衛隊に入隊した覚えはないし、ゴリさん自衛官時代に記憶が戻ってるし。昔の血が騒いでるんすか。

僕は無言のまま、ゴリの言うとおり、そのまま横になり寝そべった。やはり土の上に直接寝るのは抵抗がある。しかし、ボロ小屋の小さな電球は少しロマンチックだった。

「ゴリさん。ねえ、ゴリさん」

「なんだ?」

「いや、あの。ゴリさんってほんとにウチのオヤジさんの部下だったんですか?」

「ああ、そうだよ。俺が自衛隊辞めて富国電気に入った時は確か東証2部に上場するかどうかって今の会長と揉めていたような気がするな。今でこそ富国電気は日本有数の企業になったけど20年前はガレージオフィスに毛が生えた程度だったんだ」


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