無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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藤田は、義明兄さんと私を広島から美森市まで連れて来てくれた人間で、義明兄さんとは親密な関係だった。どうやら藤田のところにはカラーパーツがあるらしいのだが、傭兵を雇い完全武装しており誰も近づけようとはしない。

賢一と河島君で乗り込んでカラープログラムについて調べて貰えないだろうか」

気がつくとオジサンは涙を流していた。

「具体的にすべてのカラープログラムを削除するにはどうしたらいいの?」

僕の問いかけに、この場にいた人達はしばらく口を閉ざした。重い空気が流れた後、沈黙をうちやぶるようにゴリが話し出した。

「栗原、いま会長がおっしゃったように、俺はお前のオヤジさんの元部下だ。そして、カラープロジェクトにも深く関わっている。しかし、俺がこのプロジェクトに参加していたのは90年代前半までで、まだインターネットなんて世間になかった時代の話だ。俺はカラーのメインプログラム(コアパッケージ)を設計したが、子機パーツ関連の設計はやっていない。

現状から把握するとカラープログラムはメインモジュールのカラー本体と各パーツが互いに情報を交換しながら動作するようになっているようだ。本体だけでも動かないし、子機だけでも動かないようだ。

このプログラムを、この世から消滅させるには、カラープログラム本体に各パーツ(子機)を直接インストールして本体の人口知能集積プログラムのログを削除してから、すべてのプログラムを削除するしかない。いや、まだ仮説だがな」

「そうですか。ていうか全然分かりません。とりあえず、各カラーパーツを捕まえてきて富国電気のラボ(研究室)の中に保管して、メインモジュール(本体)を探し出したらいいわけですね」

「今のとこは……この方法しかないな」

僕らの話に重役達はただうなずくだけだった。というか、きっと何を言っているのか分からないのだろう60〜70歳代の経理畑上がりの重役連中にはきっと宇宙人の会話に聞こえるに違いない。


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