無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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僕の説明に納得したのか、みんなは暗闇の中に素早く散っていった。いつもは見られないまとまりだ。ネットの上でしかつきあいのないヤツがいるとはいっても、一緒に仕事をしているのだ。やはり強い連帯感が存在しているんだろう。非常事態なのに、なんだかほっとした気分になった。

「賢一、俺らももたもたしてるわけにはいかねえ。行こうぜ」

気がつくと僕の前に康市と京介が立っていた。

「じゃあ行くか」

二人とも無言でうなずくと、並んで歩き出した。

その時携帯が鳴った。メールの着信だった。慌ててフリップを開くと、差出人の名前が目に飛び込んできた。MrCOLOR……プレゼンの時に届いた迷惑メールだ。

腹立たしさ半分で開封してみると「Take it easy」と書かれていた。何が気楽にだ。こんな状態で気楽になんかなれるか、バカヤロー。タイミングよく迷惑メールを出してくる差出人が誰なのか気になったが、それよりも腹立たしさが勝った。自分の中で悪態をついて、携帯をしまった。

「ところで、康市の家って、どこだっけ? 前にオヤジさんと会った時は病院だったからな」僕がそう言うと、康市は緊張した顔を見せた。

「犬井山のふもとの所です」

「う〜ん。ここから5、6キロあるね」京介が話に割り込んだ。

「しょうがねえな〜。まだ酔いも醒めてないし、道路がこんな状態なら、俺らの車じゃ犬井山までは無理だ。この状況だったらみんなで走って行くしかないな」

「マジっすか?」

「急がないと。10時間以内に対策できなかったら、もっとキツイ思いすることになるぜ」京介の言葉に背中を押されて、みんないつのまにか走り出していた。はずむ息の中、暗闇が切り裂かれるように広がっていく。

しかし、普段からまともに運動をしていない僕らが長時間走れるわけもない。ものの10分程度でみんなトボトボ歩きだした。


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