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京介が、白板にブルー・アース・プロジェクトと書くと、会場からざわめきの声が漏れた。

「みなさんは、ガガーリンという人物をご存知でしょうか。旧ソ連の人物で、人類初の有人宇宙船に乗った人物です。

彼の地球は青かったという言葉はあまりにも有名ですので、ご存知の方も多いと思います。彼は、宇宙から地球を眺めた時、何を感じたのでしょうか。また、それは彼にしか分かりえない事なのかも知れません。

ですが、様々な国で生活していて、一見何のつながりも持たない人類が、実は地球という星の上で、一つに結び付けられていることを強く感じたのではないでしょうか。彼の言葉の中には、そのことを実感することができた感動が込められていると思います。

弊社のブルー・アース・プロジェクトとは、一言で申しますと、全人類が、ガガーリンが地球を眺めた時と同じ感動を味わえるプロジェクトです」

クライアントの席から驚きの声があがった。

さすがは京介だ。はったりとはいえ、ここまで人を引き付けられるなんて、たいしたもんだ。

「さて、クライアントの皆様におかれましては、弊社がご提案させていただくブルー・アース・プロジェクトに関心をお持ちいただけたことと思います。

ここで、一旦マイクを置かせていただきまして、ブルー・アース・プロジェクトの詳細につきましては、弊社代表取締役社長・栗原賢一から説明させていただきたいと思います」

おい、ここで俺かよ。あ然としていると、京介はマイクを置いた。そして、僕の肩をポンポンと叩いた。

「す、すまん。イッパイ、イッパイだ。後は頼む」

「頼むって、何を話せばいいんだよ」

「とにかく頼む」

参った。クライアントの期待が高まっただけ、よけいにまずい。


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